扶養 範囲 手取り 計算|3つの扶養の違いと損益分岐点を解説
扶養には3つの種類がある|税法と社会保険で異なる基準
「扶養」と一言で言っても、実は3つの異なる制度が存在します。それぞれ扶養の範囲(基準)が異なるため、正確な理解が重要です。
| 制度 | 扶養の範囲(基準) | 根拠法 | 影響するもの |
|---|---|---|---|
| 所得税の扶養(扶養控除) | 年収103万円以下(合計所得48万円以下) | 所得税法 | 扶養者の所得税・住民税 |
| 健康保険の被扶養者 | 年収130万円未満(原則) | 健康保険法 | 健康保険料の負担有無 |
| 国民年金の第3号被保険者 | 健康保険の被扶養者とほぼ同一 | 国民年金法 | 年金保険料の負担有無 |
扶養範囲別 手取り額の変化をシミュレーション
配偶者の扶養に入っているパート従業員(東京都、40歳未満)の年収別手取り額と、扶養範囲を超えた場合の影響を計算します。
| 年収 | 所得税扶養 | 社保扶養 | 所得税 | 住民税 | 社保料 | 手取り | 増減 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 100万円 | ○ | ○ | 0 | 0 | 0 | 100万円 | 基準 |
| 103万円 | ○ | ○ | 0 | 3,000 | 0 | 102.7万円 | +2.7万 |
| 106万円 | × | ○ | 1,500 | 8,000 | 0 | 105万円 | +5万 |
| 130万円 | × | ○ | 10,000 | 35,000 | 0 | 125.5万円 | +25.5万 |
| 150万円 | × | × | 20,000 | 55,000 | 225,000 | 120万円 | -5.5万 |
| 170万円 | × | × | 25,000 | 65,000 | 255,000 | 135.5万円 | +10万 |
年収130万円→150万円で扶養範囲を超えた場合、手取りは約5.5万円減少します。年収170万円あたりで初めて130万円時の手取りを上回ります。
社会保険の扶養範囲と「年収130万円」の判定方法
社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養範囲は「年収130万円未満」が基準ですが、この判定にはいくつかのポイントがあります。
- 収入の見込み額で判定:過去の実績ではなく、認定時点から1年間の「見込み収入」で判断。月収108,334円以上が継続する見込みなら扶養から外れる
- 通勤手当を含む:税法上非課税の通勤手当も含めた総収入で判定
- 60歳以上は180万円未満:60歳以上の方や障害年金受給者は、扶養範囲の上限が180万円に緩和
- 一時的な収入増加:一時的な理由で収入が増えた場合は、扶養継続が認められる場合あり
扶養範囲を超えた場合の具体的計算例
ケース:月収14万円(年収168万円)のパート従業員
- 年収
- 168万円
- 雇用保険料(年収の0.6%)
- 約10,080円
- 国民健康保険料(東京都目安)
- 約15万円
- 国民年金保険料(月16,980円×12)
- 約203,760円
- 所得税(課税所得168万-55万-48万=65万×5%)
- 約32,500円
- 住民税(65万×10%+均等割)
- 約70,000円
- 年間手取り
- 168万円 - 約46.5万円 = 約121.5万円
扶養範囲内だった場合(年収130万円)の手取り約125.5万円より少なく、扶養範囲を超えた後は年収170万円以上でないと手取りで上回れないことがわかります。
扶養に関するQ&A
扶養の範囲判定で、パートの掛け持ち収入は合算されますか?
合算されます。複数の勤務先からの給与収入や、副業による雑所得・事業所得も含めて、年間の合計収入で扶養範囲を判定します。
年の途中で扶養範囲を超えた場合、どうすればよいですか?
社会保険の扶養要件を満たさなくなった場合、扶養者(配偶者など)の勤務先に「被扶養者異動届」を提出し、ご自身で国民健康保険・国民年金に加入する手続きが必要です。遡って保険料が請求されることがあるため、速やかな対応が重要です。
配偶者の収入が上下する場合、扶養範囲内かどうか毎年判定が必要ですか?
はい。扶養の判定は各年(税法上は1月1日〜12月31日、社会保険上は認定時点からの見込み)で行われるため、毎年の収入状況に応じて扶養の範囲内外が変わり得ます。