残業代の割増率をパターン別に徹底解説【早見表付き2026年】

時間外労働の割増率は+25%だけではありません。深夜・休日・60時間超など、条件によって割増率は変わります。本記事では全パターンを早見表で整理し、重複適用の計算例も含めて解説します。

法定割増率の全パターン——基本の4つを押さえる

労働基準法第37条が定める割増賃金の率は、次の4種類です。状況によってこれらが単独で適用されるケースと、重複して適用されるケースがあります。

割増賃金率 一覧表(労働基準法第37条)
労働の種類 該当する時間帯・条件 割増率 時給換算の倍率 法的根拠
法定時間外労働 1日8時間・週40時間を超えて月60時間まで +25% 1.25倍 労基法第37条第1項
深夜労働 午後10時から午前5時まで +25% 1.25倍 労基法第37条第4項
法定休日労働 週1回の法定休日に出勤 +35% 1.35倍 労基法第37条第1項
月60時間超の時間外 月の時間外労働が60時間を超過した部分 +50% 1.50倍 労基法第37条第1項ただし書

用語の注意点:「法定休日」とは労働基準法第35条が定める週1回の休日です。会社が任意に定めた週2日目の休日(所定休日)は「法定外休日」であり、この日に出勤しても休日割増+35%の対象になりません。法定外休日の労働は、週40時間を超えた場合に通常の時間外割増(+25%)の対象となります。

割増率の重複——組み合わせ全パター
ン早見表

実際の勤務では複数の割増事由が重なるケースが多くあります。以下の早見表で全パターンを確認できます。

割増率の重複適用パターン早見表
勤務パターン 割増率の内訳 合計割増率 時給換算
平日の法定時間外(18時〜22時) 時間外 +25% +25% 1.25倍
平日の時間外+深夜(22時〜翌5時) 時間外 +25% + 深夜 +25% +50% 1.50倍
法定休日の日中(9時〜22時) 休日 +35% +35% 1.35倍
法定休日の深夜(22時〜翌5時) 休日 +35% + 深夜 +25% +60% 1.60倍
法定外休日(所定休日)の日中 週40時間超の部分:時間外 +25% +25% 1.25倍
法定外休日の深夜 時間外 +25% + 深夜 +25% +50% 1.50倍
月60時間超の時間外 時間外 +50%(深夜重複の場合+75%) +50%〜+75% 1.50〜1.75倍
月60時間超+深夜 60h超 +50% + 深夜 +25% +75% 1.75倍

具体例:基礎時給2,000円・月80時間の残業のうち22時以降が20時間あるケース

〜60時間の通常時間外(日中)40時間 × 2,000円 × 1.25 = 100,000円
〜60時間の通常時間外(深夜)10時間 × 2,000円 × 1.50 = 30,000円
60時間超の部分(日中)10時間 × 2,000円 × 1.50 = 30,000円
60時間超の部分(深夜)10時間 × 2,000円 × 1.75 = 35,000円
残業代合計195,000円

このように、同じ月80時間の残業でも、深夜帯の有無や60時間超の有無で総額が大きく変わります。割増率のパターンを正確に把握して計算することが欠かせません。

中小企業の猶予措置と代替休暇——60時間超の特例

月60時間を超える時間外労働に対する+50%の割増率は、2010年の労働基準法改正で導入されましたが、中小企業には長らく猶予措置が設けられていました。2023年3月31日をもってこの猶予は完全に終了し、現在はすべての事業場で+50%が適用されています。

代替休暇制度とは

中小企業の負担軽減策として、60時間超の割増賃金(+50%のうち通常の+25%を超える+25%部分)を、有給の休暇(代替休暇)に振り替えることが認められています。この制度を利用する場合は、労使協定の締結が必要です。

注意:代替休暇の取得は労働者の任意です。使用者が一方的に「残業代の代わりに休め」と命じることはできません。また代替休暇を取得しなかった場合、+50%の割増賃金を必ず支払わなければなりません。

中小企業の定義

ここでいう中小企業とは、資本金の額または出資の総額が以下の基準を満たす事業者です。

  • 小売業・サービス業:5,000万円以下 または 常時使用労働者数50人以下
  • 卸売業:1億円以下 または 常時使用労働者数100人以下
  • その他の業種(製造業・建設業など):3億円以下 または 常時使用労働者数300人以下

よくある質問

残業代の割増率は一律+25%ですか?

いいえ。法定時間外労働(月60時間まで)が+25%、深夜労働(22時〜5時)が+25%、法定休日労働が+35%、月60時間超の時間外労働が+50%です。またこれらは重複適用され、例えば22時以降の時間外労働は+50%になります。

深夜残業と休日出勤が重なった場合、割増率は何%ですか?

法定休日の深夜労働では休日+35%と深夜+25%で合計+60%(1.60倍)です。法定外休日(週2日目の休日など)の深夜では休日割増が適用されず、時間外+25%と深夜+25%で+50%です。

中小企業の60時間超割増率はいつから適用されますか?

猶予措置は2023年3月末で終了し、2023年4月1日から大企業・中小企業を問わず+50%が適用されています。中小企業には代替休暇制度が引き続き利用可能です。

変形労働時間制を採用している場合、割増率の考え方は変わりますか?

1か月単位の変形労働時間制では、変形期間平均で週40時間以内なら特定日・週の超過は割増対象外ですが、期間全体の総枠超過分は通常どおり+25%〜+50%が適用されます。深夜・法定休日の割増率は変わりません。