年収850万円の手取りはいくら?共働きパワーカップルが目指す世帯年収1200万円の現実
都心のタワーマンションに住み、保育園に子供を預け、夫婦ともにバリバリ働く——いわゆる「パワーカップル」と呼ばれる共働き世帯が増えています。夫の年収850万円、妻の年収350万円で世帯年収1,200万円。しかし、二人とも正社員として稼ぐことは、税制面でどのような影響をもたらすのでしょうか。
この記事では、年収850万円の手取りを基点に、共働き世帯の所得最適化戦略を多角的に分析します。
年収850万円の手取りまとめ
- 年間手取り:約626万円(手取り率73.6%)
- 月間手取り:約52.2万円
- 年間社会保険料:約138万円
- 年間所得税+住民税:約86万円
一人で稼ぐ vs 二人で稼ぐ――手取り最大化の方程式
世帯年収1,200万円を達成する方法は二通りあります。一人で1,200万円稼ぐか、夫850万円+妻350万円の共働きで達成するか。結論から言えば、圧倒的に後者の方が世帯手取りは大きくなります。
なぜでしょうか。日本の税制は累進課税のため、一人で高所得になればなるほど限界税率が上がります。年収1,200万円の場合、所得税率は23%ゾーン(課税所得900万円超)に突入し、手取り率は約69%まで低下。一方、夫850万円(所得税率20%)+妻350万円(所得税率5%)の二人なら、それぞれ低めの税率で課税されるため、世帯の実効税率は大幅に低くなります。
| パターン | 夫・年収 | 妻・年収 | 世帯手取り | 実効手取り率 |
|---|---|---|---|---|
| A:一人稼ぎ | 1,200万円 | 0円 | 約828万円 | 69.0% |
| B:共働き(フル) | 850万円 | 350万円 | 約904万円 | 75.3% |
| C:共働き(扶養内) | 850万円 | 100万円 | 約718万円 | 75.6% |
パターンBとCでは、妻の収入が250万円多いにもかかわらず、世帯手取りは186万円もBの方が上。扶養の壁を越えてしっかり稼ぐことの経済的合理性がはっきりと表れています。ただしパターンBでは妻自身の社会保険料負担(年約53万円)が発生するため、それを見越した家計設計が必要です。
保育料が家計を圧迫する「狭間
の世代」
年収850万円の共働き世帯が最も頭を悩ませるのが保育料です。保育料は自治体ごとに異なりますが、多くの市区町村では住民税課税額を基準に階層分けされており、年収850万円(住民税所得割額約49万円)の場合、3歳未満児で月額5〜7万円が標準的なゾーンです。
子供2人が0歳と2歳で保育園に通う場合、保育料だけで月12〜14万円。これは手取り52.2万円の約25%を占める衝撃的な数字です。ただし3歳からは幼児教育無償化で保育料がゼロになるため、この負担は一時的なもの。とはいえ、最初の3年間のキャッシュフローはかなり厳しくなります。
対策としては、①会社の企業主導型保育所やベビーシッター補助制度の活用、②育児休業給付金(休業開始時賃金の67%→6ヶ月経過後50%)の正確な把握、③ふるさと納税を活用した返礼品での生活費補填、の3つが効果的です。特に育休給付金は非課税なので、額面の67%支給でも手取りベースでは80%以上をカバーできることを知っておきましょう。
妻のキャリアと時短勤務の経済学
「子供が小さいうちは時短勤務で」と考える共働き夫婦は多いですが、時短勤務が家計に与える影響を正確に把握している方は意外に少ないものです。例えば妻の年収がフルタイムで400万円、時短(所定労働時間の80%)で320万円になる場合、手取りの減少は月約5万円。
この5万円をどう評価するか。時短で生まれた時間で子供と向き合える価値は金銭換算できませんが、キャリアの観点では注意が必要です。時短勤務中の3〜5年は昇給・昇格の対象から外れるケースが多く、時短を続けるほどフルタイム復帰後の年収が伸び悩むというデータもあります。時短は「育児のための一時的な措置」と割り切り、小学校入学を目処にフルタイム復帰する計画を立てるのが賢明です。
住宅ローン控除を夫婦で最適化する方法
年収850万円の夫と年収350万円の妻がペアローンを組む場合、住宅ローン控除の適用方法に工夫の余地があります。ペアローンでは、夫婦それぞれが自分の借入額に応じて控除を受けるため、控除額の合計が大きくなるメリットがあります。
ただし、妻の年収350万円では所得税額が約7万円と少ないため、単独では住宅ローン控除を消化しきれません。ここで有効なのが「負担割合の最適化」。例えば物件価格5,000万円、頭金1,000万円で借入4,000万円の場合、夫3,200万円(控除額約22.4万円)、妻800万円(控除額約5.6万円)と負担割合を調整することで、二人とも控除を余すことなく使い切れます。ペアローンを検討する際は、金利だけでなく控除の消化率も含めた総合設計が重要です。
教育費と老後資金、夫婦別々に積み立てるべきか
共働き世帯の資産形成で悩ましいのが、「夫婦の金融資産を合算で考えるか、別々に管理するか」です。税制面から言えば、iDeCoは個人単位、新NISAも個人単位なので、夫婦それぞれが非課税枠を最大限使うのが基本戦略です。iDeCoは夫月2.3万円+妻月2.3万円=年55.2万円の所得控除で、夫婦合計約16.5万円の節税効果が得られます。
教育費は夫婦の収入比率に応じて分担するより、世帯として一括管理し、高所得者側のiDeCoを厚くする(節税効果が大きいため)といった最適化が効率的です。また妻の年収が上がれば将来の年金受給額も増えるため、共働きを継続すること自体が最大の老後対策であることを忘れずに。
よくある質問
- 年収850万円の手取りはいくらですか?
- 月の手取りは約52.2万円、年間手取りは約626万円です。手取り率は約73.6%まで低下します。
- 共働きで世帯年収1200万円の場合、手取りはいくらですか?
- 夫850万円+妻350万円で世帯手取り約904万円。一人で1,200万円稼ぐより手取りが約76万円多くなります。
- 年収850万円で保育料はいくらですか?
- 3歳未満児で月5〜7万円が標準的です。3〜5歳は幼児教育無償化で無料。保育料を考慮したキャッシュフロー管理が重要です。
- 配偶者の年収を扶養内に抑えるべきですか?
- 年収850万円の世帯では扶養控除の節税メリットが相対的に小さいため、扶養を外れてしっかり稼ぐ方が世帯手取りで圧倒的に有利です。
- 時短勤務で年収が下がった場合、世帯手取りへの影響は?
- 年収400万円→280万円で手取り月約7万円減。保育料減と育児時間増とのトレードオフとして捉え、長期的なキャリア視点で判断を。