年収920万円の手取り670万円——38歳、「あと15年会社にいればFIREできる」その計算、本当に合ってますか
「7,500万円貯まったら辞める」——そう決めて10年。資産は4,200万円になった。問題はここからだ。FIREの計算は単純だが、人生はそうじゃない。
年収920万円という「中途半端な天国」
年収が900万円を超えると、所得税の限界税率が33%になるライン(課税所得900万円超)が見えてきます。年収920万円の場合、給与所得控除は上限の195万円。基礎控除48万円。社会保険料控除126万円。課税所得は約551万円で、まだ23%ゾーンにギリギリ留まっています。つまり「高給取り」の感覚と「税の痛み」が一致しない、妙なゾーンです。
| 控除項目 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| 額面月収 | 約76.7万円 | 920万円 |
| 健康保険料 | 約3.8万円 | 約45.6万円 |
| 厚生年金保険料(上限) | 約6万円 | 約72万円 |
| 雇用保険料 | 約4,600円 | 約5.5万円 |
| 所得税 | 約4.2万円 | 約50.4万円 |
| 住民税 | 約6万円 | 約72万円 |
| 手取り | 約55.8万円 | 約670万円 |
FIREに必要な資産額——「4%ルール」が教
える現実
FIRE(Financial Independence, Retire Early)の基本は「4%ルール」。年間生活費の25倍の資産を貯め、年4%ずつ取り崩せば、理論上は資産が尽きません。私の現在の年間生活費は360万円。つまり必要な資産は——
360万円 × 25 = 9,000万円
現在の資産は4,200万円。残り4,800万円。毎年335万円(手取りの50%)を貯蓄し、年利4%で運用すると、到達までに約10年。48歳でのFIREが射程に入ります。
でも、その計算にはいくつか「落とし穴」があります。
インフレ
年2%のインフレで
20年後には生活費が
1.5倍(540万円)に
必要資産は1.35億円
社会保険料
退職後も国保+年金で
年40万円以上の負担
これも「生活費」に
織り込むのを忘れずに
ライフイベント
結婚・出産・教育費・
親の介護——どれも
数百万単位の出費
バッファは必須
「サイドFIRE」という現実解——全部辞めなくても自由は手に入る
フルFIRE(完全退職)にこだわると、資産1億円でも心許ないのが実情です。そこで私が現在検討しているのがサイドFIRE(バリスタFIRE)。資産5,000万円+週2〜3日の労働で、足りない生活費を補填するモデルです。
| FIRE形態 | 必要資産 | 労働 | 自由度 |
|---|---|---|---|
| フルFIRE | 9,000万円 | ゼロ | 完全自由だが不安も |
| サイドFIRE | 5,000万円 | 週2〜3日 | そこそこ自由、安定感あり |
| コーストFIRE | 4,000万円 | フルタイム(ただし貯蓄不要) | 仕事は続けるが精神的余裕大 |
| ファットFIRE | 1.5億円 | ゼロ | 完全自由+贅沢可能 |
サイドFIREなら、いまの資産4,200万円からあと一歩。副業で月10万円を稼ぎ、資産からの取り崩しを月15万円に抑えれば、月25万円の生活費(年間300万円)で十分暮らせます。50歳ではなく、45歳での「準FIRE」が現実的になってきました。
FIREと手取り・資産形成のQ&A
- Q. 年収920万円の手取りはいくらですか?
- 年間約670万円、月額約55.8万円です。控除率は27.2%。手取りの50%を貯蓄に回せば、年間335万円のFIRE原資が積み上がります。
- Q. FIRE後の税金はどうなりますか?
- 資産の取り崩し(譲渡益)に対して20.315%の分離課税がかかります。NISA枠からの引き出しは非課税。生活費を300万円に抑えれば、譲渡益課税は年間10〜20万円程度で収まります。
- Q. 退職後の健康保険、任意継続と国保どっち?
- 任意継続は退職後2年間、在職中の保険料の2倍(会社負担分がなくなるため)。年収920万円なら月約7.6万円と高額です。一方、国保は前年の所得に応じて計算され、退職2年目以降は所得が低くなるため保険料も下がります。退職後すぐの2年間だけ任意継続、その後国保が一般的なパターンです。
- Q. 38歳でFIREを目指すのは遅いですか?
- 決して遅くありません。年収920万円の高貯蓄率を活かせば、50歳前後でのFIREは十分可能です。むしろ30代でFIREを意識し始めること自体が、日本人全体から見れば相当早いスタートです。
- Q. FIRE後の「やること」がなくて不安にならないですか?
- これはFIREコミュニティで頻出するテーマです。サイドFIRE(週2〜3日の労働)はこの問題を和らげます。完全に辞めるのではなく、「お金のためではなく、やりたいから働く」状態が理想です。私の場合は、趣味の写真を仕事にする計画です。
- Q. 年収920万円の貯蓄率、理想は何%ですか?
- 独身・賃貸なら手取り670万円のうち50%(335万円)が現実的。これを10年続ければ元本3,350万円、運用益込みで約4,000万円。同居や持ち家なしなら60%(402万円)も不可能ではありません。