総支給35万円の手取りは?フリーランスとの比較で考える独立の損益分岐点
総支給35万円の「見えない報酬」—会社が負担する社会保険料と福利厚生の真実
総支給35万円の会社員が受け取っている「真の報酬」は、手取り約27万円だけではありません。会社は社会保険料の半額(約51,555円/月)を法定福利費として負担し、さらに退職金引当金(月2〜3万円相当)、有給休暇(日割り換算で月1.5〜2.5万円)、健康診断・人間ドック補助、研修費、社員割引、福利厚生施設など、金額換算の難しい様々な非金銭的報酬を提供しています。
これらをすべて総合すると、会社員としての「総報酬額」は月約42〜45万円に相当します。つまり、フリーランスとして独立した場合、少なくともこの水準を上回る収入を確保しなければ、実質的な「ダウンサイジング」になってしまうのです。
フリーランスの経費感覚—手取りを最大化する「売上−経費」思考
フリーランスの最大の武器は「経費」です。会社員では認められない様々な支出を経費計上できます。自宅の家賃の30〜50%(仕事専用スペースの面積按分)、光熱費の同割合、通信費全額、書籍・セミナー代、取引先との会食費(50%)、さらには出張と称した旅行費用の一部まで。月60万円の売上に対して経費を月15万円計上できれば、課税所得は45万円。
ただし経費の濫用は税務調査のリスクを高めます。特に「家事按分(生活費と事業費の按分)」は税務署が最も注目するポイント。自宅家賃の50%を経費にするには、実際に仕事専用の部屋(書斎)があることが前提で、リビングの一角では20〜30%が妥当です。青色申告(最大65万円の特別控除)を行う場合は、複式簿記での記帳が必須となり、クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)の利用が現実的です。
独立のリアルスケジュール—退職3ヶ月前から独立6ヶ月後までの工程表
退職3ヶ月前:開業届・青色申告承認申請書の下準備、屋号と事業内容の確定。退職2ヶ月前:退職願の提出、取引先への根回し(競業避止義務の確認)、社会保険の任意継続か国保切替の試算。退職1ヶ月前:仕事の引き継ぎ完了、クラウド会計ソフトの契約、ビジネス用銀行口座の開設、クレジットカードの事業用分離。退職後1週間以内:開業届・青色申告承認申請書・所得税の棚卸し(消費税の課税事業者選択届出書は慎重に判断)を税務署に提出。独立3ヶ月後:初めての確定申告のための帳簿付け習慣の確立と税理士の検討。