残業時間の平均は?業種別・年代別データで見る実態【2026年】

厚生労働省の毎月勤労統計調査や総務省の労働力調査をもとに、日本の残業時間の平均値を切り口別に分析します。あなたの残業時間が世間と比べて多いのか少ないのか、客観的に判断するための材料としてご活用ください。

データの出典:本ページの数値は厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年分結果」および総務省「労働力調査」、OECD「Time spent in paid work」に基づいています。数値は事業所規模5人以上の一般労働者(パートタイム労働者を除く)を対象としています。

全体像——日本の平均残業時間は月13.7時間

厚生労働省の毎月勤労統計調査(令和5年・2023年)によると、調査対象となった全産業の一般労働者における月間の所定外労働時間は平均13.7時間です。この数値は製造業からサービス業までを含む横断的な平均であり、業種や職種を問わない「日本人全体」の目安といえます。

1日あたりに換算すると、月20日の出勤として1日約41分の残業に相当します。ただしこれはあくまで平均であり、実際には「まったく残業しない層」と「月50時間以上残業する層」の二極化が進行している点に注意が必要です。

参考までに、2013年から2023年までの平均残業時間の推移をみると、2013年は約10.9時間だった数値が、2018年以降の労働時間把握の厳格化や統計上の捕捉率向上により、12〜14時間台で推移しています。新型コロナウイルス感染症拡大期の2020年には一時的に9.2時間まで低下しましたが、その後は回復傾向にあります。

業種別ランキング——ワースト3と
ベスト3

平均残業時間は業種によって2倍以上の開きがあります。以下に残業時間の長い業種と短い業種を紹介します。

業種別・月間所定外労働時間(令和5年・事業所規模5人以上)
順位 業種 所定外労働時間/月 特徴・背景
1位 運輸業・郵便業 約27.5時間 ドライバー不足、長時間運行、2026年問題
2位 情報通信業 約22.3時間 システム開発の納期集中、リリース前の長時間化
3位 学術研究・専門技術サービス 約19.8時間 コンサル・設計事務所のプロジェクト型業務
4位 建設業 約18.2時間 工期厳守、天候による工程変動
5位 製造業 約17.1時間 受注変動、ライン生産の調整
... ...中略...
最下位 宿泊業・飲食サービス業 約7.2時間 シフト制が中心、パート比率が高い
下位2 生活関連サービス業・娯楽業 約8.5時間 営業時間が固定されやすく超過勤務が限定的

運輸業が突出して多いのは、慢性的な人手不足に加え、荷待ち時間などの「手待時間」が労働時間に含まれるかどうかのグレーゾーンがあること、また長時間運行が常態化していた業界構造に起因します。情報通信業の残業の多さは納期集中型のプロジェクトマネジメントと、リモートワークによる労働時間管理の難しさが背景にあります。

年代・性別・企業規模でみる残業時間の格差

残業時間を属性別に切り分けると、さらに明確な傾向が浮かび上がります。

年代別:30代後半〜40代男性がピーク

30代後半から40代の男性正社員は月平均で20〜25時間と最も残業時間が長くなります。この年代は職場の中核を担い、プレイングマネージャーとしての役割や後進の育成も加わるため、どうしても労働時間が伸びがちです。一方20代は比較的短く10〜15時間程度、50代以降は管理職への移行に伴い残業代の支払対象外となるケースが増えるため、統計上の残業時間は減少します。

性別:男性の残業時間は女性の約1.8倍

一般労働者の月間残業時間を男女別にみると、男性が約16.5時間であるのに対し、女性は約9.2時間です。この差は、女性の非正規雇用比率が高いこと、家庭責任の偏りにより長時間労働を回避せざるを得ない実態、そして管理職に占める女性比率が依然として低いことに起因しています。ただし20代に限れば男女差は縮小傾向にあります。

企業規模別:大企業ほど残業時間が長い

従業員1,000人以上の大企業では月平均約16〜18時間、100〜999人の中堅企業では約13〜15時間、30〜99人の中小企業では約10〜12時間です。この逆転現象は、大企業ほど業務の専門分化が進み、特定の部署・個人に業務が集中しやすいこと、また労働時間の記録が厳格で捕捉率が高いことに起因すると考えられます。

働き方改革後——残業時間は本当に減ったのか

2019年に時間外労働の上限規制がスタートしてから5年が経過しました。この間、残業時間にどのような変化があったのでしょうか。

結論からいえば、「減った」と断言できるほどの劇的な変化はみられません。全産業平均では2019年の約12.0時間から2023年の約13.7時間へと、むしろ微増しています。ただしこれは、法改正を機に「サービス残業」が顕在化し、労働時間の捕捉が適正化された効果が統計に表れた側面もあります。

一方で、月60時間以上の長時間残業者の割合は明らかに減少しています。2018年には全労働者の約7.3%だった月60時間以上の残業者比率は、2023年には約5.1%に低下しました。上限規制の導入が過度な長時間労働の抑制に一定の効果を上げていることはデータからも読み取れます。

よくある質問

日本人の平均残業時間はどれくらいですか?

厚生労働省の令和5年毎月勤労統計調査によると、一般労働者の月平均所定外労働時間は約13.7時間です。1日あたり約41分に相当します。ただし業種や年代によって数値は大きく異なり、運輸業では27時間超、宿泊飲食業では7時間程度と、業種間で4倍近い開きがあります。

一番残業が多い業種はどこですか?

運輸業・郵便業が最も多く月約27.5時間、次いで情報通信業が月約22.3時間、学術研究・専門技術サービス業が月約19.8時間です。運輸業は2026年問題による上限規制の適用で注目されており、今後の変化が期待されます。最も少ないのは宿泊業・飲食サービス業の月約7.2時間です。

年代によって残業時間は変わりますか?

30代後半から40代の男性が月20〜25時間と最も長く、20代は10〜15時間、50代以降は管理職化により統計上の残業時間が減少します。女性は全年代で男性より短く、特に30代以降の差が顕著です。

企業規模によって残業時間に差はありますか?

大企業(1,000人以上)ほど残業時間が長く月16〜18時間、中小企業(30〜99人)は10〜12時間です。大企業は労働時間の捕捉が厳格でサービス残業が少ないこと、業務の専門分化による偏りが生じやすいことが要因です。