残業28時間でいくら?——月収帯別の実額・年間インパクト・みなし残業との関係

28時間という数字は、週5日勤務で1日あたり約1時間24分。あるいは週のうち3日だけ2時間超の残業をするパターンです。忙しい部署では「平常運転」ともいえる水準であり、月45時間規制の約6割に相当します。

問題は「これが毎月続いたとき、家計にどう響くか」です。単月の残業代だけでなく、年間で見たときの累積効果、そして社会保険料や税金への波及まで含めて試算してみましょう。

月収帯別・28時間残業の金額マトリクス

月収(基本給+諸手当のうち割増賃金の基礎となるもの)をベースに、基礎時給を算出し、28時間の残業代を計算します。月平均所定労働時間は168時間(年間210日×8時間÷12ヶ月)と仮定しています。

月収別 28時間残業の金額一覧
月収(基礎)基礎時給割増後時給28h残業代月収+残業代年収換算増加額
250,000円1,488円1,860円52,083円302,083円625,000円
280,000円1,667円2,083円58,333円338,333円700,000円
300,000円1,786円2,232円62,500円362,500円750,000円
320,000円1,905円2,381円66,667円386,667円800,000円
350,000円2,083円2,604円72,917円422,917円875,000円
400,000円2,381円2,976円83,333円483,333円1,000,000円

注目すべきは最右列の「年収換算増加額」です。月収25万円と40万円では、同じ28時間の残業でも年間で37.5万円もの差が出ます。これは残業代が時給比例であり、かつ割増率が同じでも基礎時給の差がそのまま拡大されるためです。

毎月28時間残業した場合の手取り年収シミュレ
ーション

残業代も給与の一部として社会保険料(約15%)と所得税(累進課税)の対象になります。ここでは月収30万円・毎月28時間残業のケースで、手取りベースの年収を試算しました。

月収30万円・毎月28h残業の年間手取り試算
項目月額年額
基本給与(総支給)300,000円3,600,000円
残業代(総支給)62,500円750,000円
年間総支給362,500円4,350,000円
社会保険料(約15%)−54,375円−652,500円
所得税(概算)−12,000円−144,000円
住民税(概算)−19,000円−228,000円
手取り年収約277,000円約3,325,000円

残業代63,000円のうち、実際に使えるお金は約50,000円。差額の13,000円は社会保険料と税金として天引きされます。しかし厚生年金の保険料が増えることで将来の年金受給額が増えるという側面もあるため、単純に「損」とはいえません。

みなし残業28時間——固定残業代の適正額とチェックポイント

最近増えている「みなし残業代制」。28時間分の固定残業代を基本給に含める企業が少なくありません。この制度自体は合法ですが、固定残業代の金額が適正かどうかは別問題です。

たとえば月収30万円(うち固定残業代28時間分として5万円含む)という求人。「基礎時給は約1,786円、28時間の残業代は62,500円が適正額ですから、5万円では12,500円足りません。この差額は未払い残業代として請求できる可能性があります。

チェックすべきは「28時間を超えた分が別途支払われるか」と「固定残業代が割増率込みの金額か」の2点です。割増を考慮せず基礎時給×28時間で設定されているケースは要注意です。

よくある質問

残業28時間で管理職は適用除外ですか?
「管理監督者」(労働基準法第41条)に該当すれば残業代の支払い義務はありません。しかし単に「課長」「マネージャー」といった肩書きだけでは不十分で、経営者と一体的な立場にあること、労働時間の裁量があること、相応の待遇があることなど、厳格な要件を満たす必要があります。28時間残業している管理職は、名ばかり管理職の可能性が高いといえます。
28時間残業が数ヶ月続くと税金は増えますか?
毎月の源泉徴収税額は「月額表」に基づいて計算されるため、残業代で月収が変動すると月々の税額も変動します。ただし年末調整で年間の正確な税額に精算されるため、最終的な所得税負担は年間総収入で決まります。住民税は前年の所得を基準とするため、残業が増えた翌年度に影響が出ます。
転職時の年収交渉で残業28時間分を含めるべき?
転職市場では「残業代込みの年収」を提示する企業と「基本給のみ」を提示する企業が混在しています。面接時に「前職の年収は残業代を含めて○万円でした」と明確に伝え、残業代の割合を示すことで、適正なオファーを引き出せる可能性が高まります。特に残業時間が月28時間程度あった場合、その分を考慮しないと年収が下がって見えるため注意が必要です。
育児時短勤務で28時間残業した場合の割増率は?
時短勤務であっても、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた部分については通常通り25%以上の割増賃金が発生します。所定労働時間が6時間の時短勤務者の場合、6〜8時間の部分は法定内残業(割増0%)、8時間超の部分のみ法定外残業(割増25%)となります。