時給から残業代を計算する方法——時給制の完全ガイド

時給制で働いている場合、残業代計算は最もシンプルです。時給がそのまま基礎時給となり、特別な換算作業が不要だからです。ただし、深く理解すべきポイントがいくつかあります。まず、時給が最低賃金を上回っているかの確認が必要です。令和7年(2025年)の全国加重平均最低賃金は1,055円(2024年度改定)であり、この金額を下回る時給は違法です。さらに残業時の時給は割増率が適用されるため、残業単価は基礎時給の1.25倍以上でなければなりません。

時給制の残業代計算式(基本)
残業代 = 基礎時給(= 通常時給) × 割増率 × 残業時間数
法定時間外残業の単価 = 時給 × 1.25
深夜残業の単価(法定外+深夜) = 時給 × 1.50
法定休日出勤の単価 = 時給 × 1.35
法定休日深夜の単価(休日+深夜) = 時給 × 1.60
月60時間超の単価 = 時給 × 1.50
月60時間超+深夜の単価 = 時給 × 1.75

時給別 残業代早見表

時給別 1時間あたり残業代早見表(令和7年版)
時給法定外 (+25%)法定外+深夜 (+50%)法定休日 (+35%)休日+深夜 (+60%)60h超 (+50%)60h超+深夜 (+75%)
1,055円1,319円1,583円1,424円1,688円1,583円1,846円
1,200円1,500円1,800円1,620円1,920円1,800円2,100円
1,500円1,875円2,250円2,025円2,400円2,250円2,625円
2,000円2,500円3,000円2,700円3,200円3,000円3,500円

時給制での注意点——基礎時給に含ま
れる手当

パートやアルバイトの場合でも、各種手当が支給されている場合は注意が必要です。労働基準法施行規則第21条に基づき、家族手当・通勤手当を除く諸手当(精皆勤手当、役付手当、技能手当など)は基礎賃金に算入されます。例えば「時給1,200円+皆勤手当(1時間あたり100円換算)」の実質的な賃金体系であれば、残業代計算の基礎時給は1,300円となる可能性があります。会社が手当を除外して残業代を低く計算していないか、給与明細をよく確認しましょう。

月60時間超の割増率——時給制でも適用

時給制の労働者でも、月の残業時間(法定時間外労働)が60時間を超えた場合、61時間目から+50%の割増率が適用されます。2023年4月以降、中小企業を含むすべての事業場で義務化されています。例えば時給1,200円で月70時間の法定外残業をした場合、60時間分=1,200×1.25×60=90,000円、超過10時間分=1,200×1.50×10=18,000円、合計108,000円となります。従来の中小企業猶予期間中であれば超過分も+25%のままだったため、同じ残業時間でも支給額に差が出ます。

よくある質問

時給制の場合、残業代計算は月給制より簡単ですか?
基本的にはそうです。時給がそのまま基礎時給となるため、月給÷月所定労働時間の換算が不要だからです。ただし各種手当が支給されている場合、手当を含めた基礎時給で計算する必要があるため、注意が必要です。またパートタイム労働者でも月60時間超の+50%割増は適用されます。
パートやアルバイトでも残業代はもらえますか?
はい、雇用形態にかかわらず、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働いた場合は残業代が支払われます。パートの所定労働時間が1日4時間であっても、残業代が発生するのは8時間を超えた時点からです(4〜8時間の部分は法定内労働のため割増なし・通常時給)。深夜労働(22時〜5時)については、法定労働時間内であっても+25%の深夜割増が適用されます。
時給制で残業代の計算に交通費は含めますか?
いいえ。通勤手当(交通費)は労働基準法施行規則第21条により、残業代計算の基礎賃金から除外されます。残業代の基礎時給は、あくまで「労働の対償」として支払われる時給そのものに、家族手当・通勤手当等を除く諸手当を加えた金額です。
時給が最低賃金ギリギリの場合、残業代の割増が最低賃金を下回ることはありませんか?
最低賃金は通常の労働時間に対する賃金の下限を定めるもので、残業代の割増後の時給が最低賃金を下回ることは法律上問題になりません。ただし基礎時給(通常時給)が最低賃金を下回っていること自体が最低賃金法違反です。残業代とは別に、まず通常時給が最低賃金以上であることを確認してください。
複数のアルバイトを掛け持ちしています。残業代計算は別々ですか?
原則として事業場ごとに別々に計算します。ただし「事業場を異にする場合においても、同一の使用者に使用される労働者については、労働時間を通算する」という通達(昭和23年基発769号)があります。実質的に同一の使用者(例えば同じ会社グループで経営が一体化している)であれば通算される可能性があります。通常は別々の会社であれば別計算です。

関連ページ