手取りと所得の基本知識

給与明細を見ると「総支給額」「控除額」「差引支給額」の3つが並んでいます。このうち手取りに直結するのが「差引支給額」ですが、その金額を決めているのは所得控除という仕組みです。所得控除を知ると、なぜ同じ年収でも手取りが違うのか、どうすれば手取りを増やせるのかが見えてきます。このページでは、手取り計算に必要な所得と所得控除の基本を解説します。

「所得」と「収入」はどう違うか

税金の計算では「収入」と「所得」は別物です。収入は給与や賞与など年間に受け取る総額、所得は収入から「必要経費」に相当する給与所得控除を差し引いた金額を指します。税金は収入そのものではなく、この「所得」に対して計算されます。

給与所得控除は給与収入の金額に応じて決まり、たとえば給与収入が約162.5万円超〜270万円以下の場合は「収入×10%+10万円」、270万円超〜約423万円以下は「収入×10%+30万円」という形で控除額が計算されます。収入が高くなるほど控除額は増えますが、率は下がっていきます。

所得控除とは?手取りに効く仕組み

所得控除は、所得から差し引ける「所得控除額」のことです。所得控除が多いほど課税所得(税金の計算の土台)が小さくなり、所得税・住民税が減って手取りが増えます。

課税所得 = 給与所得(収入−給与所得控除) − 所得控除の合計
所得税 = 課税所得 × 税率 − 控除額

所得控除は「基礎控除」のように誰にでも適用されるものと、「扶養控除」のように条件を満たした人だけが受けられるものに分かれます。控除を申告し忘れると税金を払い過ぎて手取りが減るので注意が必要です。

主な所得控除の種類と金額の目安

代表的な所得控除の目安(所得税)
控除名控除額の目安対象の例
基礎控除48万円納税者本人(合計所得2,500万円以下)
社会保険料控除支払った額の全額健康保険・厚生年金・介護保険料など
配偶者控除最大48万円配偶者の年収が103万円以下の場合
扶養控除最大63万円16歳以上の扶養親族(19〜22歳は63万円)
生命保険料控除最大12万円生命保険・介護医療保険の保険料
iDeCo(個人型確定拠出年金)掛金の全額iDeCoの掛金(上限あり)

※住民税では基礎控除43万円など、所得税と金額が異なる控除があります。金額は制度改正で変わる場合があります。

所得控除が手取りに与える影響の具体例

年収500万円・独身の場合と、同じ年収で扶養親族がいる場合では、所得税に差が出ます。計算例(おおまかな目安)は以下のとおりです。

年収500万円・社会保険料控除ありの場合の課税所得比較
項目独身(扶養なし)扶養親族1人あり
給与所得控除後(給与所得)約348万円約348万円
基礎控除48万円48万円
扶養控除0円38万円(16歳以上)
課税所得(概算)約195万円約157万円
所得税(概算)約9.7万円約7.1万円

この例では扶養控除がある人の方が所得税が約2.6万円少なくなり、その分手取りが増えます。扶養控除や配偶者控除の条件は改正されることがあるため、最新の情報は国税庁のサイトで確認しましょう。

よくある質問

所得控除と税額控除の違いは何ですか?
所得控除は課税所得を減らすもので、税額控除は計算した税金そのものを直接減らすものです。住宅ローン控除は税額控除の代表例で、効果が大きい分だけ適用条件も厳しくなっています。
基礎控除は誰でも受けられますか?
所得税では合計所得金額が2,500万円以下の納税者全員が対象です。合計所得が2,400万円を超えると段階的に減額され、2,500万円超で受けられなくなります。
年末調整で何が戻ってくるのでしょうか?
毎月の給与からは概算で所得税が源泉徴収されているため、年末調整で年間の所得税を精算します。過払い分は還付され、不足していれば追加徴収されます。扶養控除や保険料控除の申告漏れがあると還付額が減るので注意してください。