健康保険料はこう計算されている——協会けんぽの標準報酬月額表を完全に読みこなす

「健康保険料って、なぜ月によって金額が違うんだろう?」給与明細を見てそう思ったことがあるなら、標準報酬月額という考え方を理解する必要がある。実際の給与ではなく、等級で区分された「標準報酬月額」に料率を掛けて保険料が決まる仕組みを、令和7年度の協会けんぽ基準で徹底解説する。

協会けんぽの保険料計算式——3ステップで月額保険料を導く

計算の基本は驚くほどシンプルだ。しかしその前提となる標準報酬月額の決定プロセスが理解を難しくしている。

健康保険料(本人負担)の計算式:
標準報酬月額 × 都道府県別保険料率 ÷ 2

例:東京都・標準報酬月額300,000円の場合
300,000 × 10.00% ÷ 2 = 15,000円/月

健康保険料率は都道府県単位で設定されており、令和7年度は約9.67%(新潟県)から約10.62%(佐賀県)の範囲。事業主と折半のため、実際の給与天引きは料率の半分になる。

標準報酬月額等級表——1級から50級まで全グレー
ドを俯瞰

協会けんぽの標準報酬月額は50等級に区分されている。以下に主要等級と各都道府県での月額保険料をマッピングした。

協会けんぽ 標準報酬月額等級別・健康保険料(本人負担)早見表
等級標準報酬月額月収目安東京(10.00%)愛知(9.94%)佐賀(10.62%)
1級58,000円〜63,0002,900円2,883円3,080円
10級134,000円125,000〜135,0006,700円6,660円7,115円
18級220,000円210,000〜230,00011,000円10,934円11,682円
24級300,000円290,000〜310,00015,000円14,910円15,930円
30級410,000円395,000〜425,00020,500円20,377円21,771円
38級630,000円605,000〜655,00031,500円31,311円33,453円
50級1,390,000円1,355,000〜69,500円69,083円73,809円

月収が上がれば等級も上がり保険料も増えるが、50級(標準報酬139万円)で頭打ちになる。年収2000万円の役員でも、健康保険料の本人負担は月額約7万円が上限だ。

定時決定と随時改定——標準報酬月額が変わる瞬間を逃さない

標準報酬月額は自動的に見直されるわけではない。制度上の2つの改定タイミングを理解しておけば、保険料の変動時期を予測できる。

定時決定 vs 随時改定の比較
項目定時決定(算定基礎届)随時改定(月額変更届)
契機毎年自動固定的賃金の変動+2等級以上の差
対象期間4月・5月・6月の平均給与変動後の連続する3ヶ月
改定時期9月から適用変動月から4ヶ月目(随時)
適用期間9月〜翌年8月改定月〜翌年8月(次の定時決定まで)
主な該当者全被保険者昇給・降給・手当変更があった人

実務上の重要ポイント:4〜6月に残業が多いと、9月からの保険料が高くなる。逆に、この期間に有給休暇を多く取得して給与が下がると、9月からの保険料が下がる。法令上は「作為的に給与を操作して保険料を下げる」ことは認められていないが、繁忙期に残業を集中させる部署の社員は、定時決定後に保険料が跳ね上がるケースが多い。

よくある質問

賞与(ボーナス)の健康保険料も月給と同じ計算ですか?
賞与の健康保険料は「標準賞与額(賞与の1,000円未満切捨て額)×保険料率÷2」で計算されます。標準賞与額には年度累計573万円の上限があります。つまり、年間の賞与合計が573万円を超えると、超過分には健康保険料がかかりません。また、賞与計算では標準報酬月額の等級表は使わず、賞与額をそのまま計算ベースとする点が月給と大きく異なります。
傷病手当金を受給している期間も健康保険料はかかりますか?
傷病手当金受給中も健康保険の被保険者資格は継続するため、保険料の納付義務は続きます。ただし、休職により給与が大幅に減少した場合、随時改定によって標準報酬月額が下がり、保険料も減額される可能性があります。傷病手当金自体は非課税で、社会保険料計算のベースにも含まれないため、保険料の二重取りはありません。
任意継続被保険者になった場合の健康保険料はどう計算されますか?
退職後に任意継続被保険者になる場合、保険料は全額自己負担(事業主負担分も自分で払う)となります。計算式は「退職時の標準報酬月額(上限あり)×保険料率」です。また、任意継続の保険料は「退職時の標準報酬月額」か「協会けんぽの全被保険者の平均標準報酬月額」のいずれか低い方で計算されるため、高給だった人の負担は軽減されます。任意継続期間は最長2年間です。

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