高齢者の手取り収入
60代を迎えると、給与から年金へ、収入源が少しずつ変わっていきます。高齢者の「手取り収入」は、年金・給与・退職金の組み合わせで構成され、働き方によって変わります。このページでは、高齢期の手取り収入の特徴と、年金と給与の関係(在職老齢年金)、医療費負担の変化を解説します。
高齢期の収入源と手取りの変化
60代以降の収入は、次の3つに分かれます。
- 給与収入:再雇用・シニア雇用で働き続ける場合。現役時代より給与水準が下がるケースが多い。
- 公的年金:65歳からの受給が基本(繰下げで増額も可能)。
- 退職金・貯蓄の取り崩し:定年時に受け取るまとまった資金。
現役時代とは違い、給与からは社会保険料や所得税・住民税が引かれますが、高齢者には「公的年金等控除」や「老年者控除」的な優遇(定額減税などの措置は時期により変わる)があります。年金の受取額は額面より少なくなる点に注意しましょう。
年金と給与の関係(在職老齢年金)
65歳以上で働きながら厚生年金(報酬比例部分)を受け取る場合、給与(賞与含む)と厚生年金の月額の合計が一定の基準を超えると、厚生年金の一部が支給停止になります。これを在職老齢年金といいます。
基準(目安):給与と厚生年金の合計が月額48万円前後を超えると、超えた分の2分の1が厚生年金から差し引かれる
| 給与(月額) | 厚生年金(月額) | 調整後の年金支給 |
|---|---|---|
| 20万円 | 12万円 | 合計32万円<48万円→全額支給 |
| 35万円 | 15万円 | 合計50万円→超過2万円の半分1万円を停止 |
| 40万円 | 15万円 | 合計55万円→超過7万円の半分3.5万円を停止 |
働きすぎると年金が減る仕組みのため、働き方(勤務時間や収入)と年金のバランスを考えて調整するのがコツです。
高齢者の医療費負担と手取り
75歳になると後期高齢者医療制度に移行し、医療費の窓口負担は原則1割(現役並み所得者は3割、70〜74歳は所得により1〜3割)になります。医療費負担は手取りに直結するため、以下の点を確認しましょう。
- 限度額適用認定証:入院などで窓口負担が一定額までになる。
- 高額療養費:自己負担が限度額を超えた分が払い戻される。
- 後期高齢者医療保険料:年金から天引きされる場合があり、手取りが減る要因になる。
医療費の負担は自治体や所得で変わるため、加入する医療保険の窓口で確認しましょう。
高齢者の手取りを増やす・守るポイント
- 年金の繰下げ受給を検討:65歳より遅く受給を始めると、最大75歳までで受給額が増える(月0.7%増など)。
- 高年齢雇用継続給付を活用:60歳定年後、給与が60歳時点より一定以上下がった場合に受けられる給付。
- 働きすぎによる年金停止を把握:在職老齢年金の基準を意識して勤務時間を調整。
- 医療費・介護費の負担軽減制度を確認:市区町村の窓口で利用できる助成を調べる。
老後全体のお金の計画は老後と手取り収入で詳しく解説しています。
よくある質問
65歳で年金を受け取りながら働けますか?
働くこと自体は可能です。ただし在職老齢年金の基準(給与と厚生年金の合計が月額48万円前後超)を超えると、厚生年金の一部が支給停止になります。収入と年金の合計がどうなるか事前に試算しましょう。
年金の受給額が手取りより少ないのはなぜ?
年金から所得税・住民税(公的年金等控除後)や社会保険料(医療・介護)が差し引かれるためです。特に75歳を超えると後期高齢者医療保険料が年金から天引きされ、手取りが減ります。
高齢者が医療費で払いすぎないコツは?
「限度額適用認定証」を事前に持っておくと、入院や高額な外来の窓口負担が限度額までに抑えられます。さらに高額療養費制度の仕組みも確認しておくと、医療費の手取りへの影響を軽減できます。